『近代日本メディア議員列伝6 池崎忠孝の明暗 教養主義者の大衆政治』佐藤卓己 著

 なかなかの野心作である。池崎忠孝というメディア政治家をとり上げ、その活動を二十世紀前半の歴史の中に蘇(よみがえ)らせる著者の意図は何か。池崎については、トンデモない議論(日米戦えば日本が勝つ)を戦前くり広げた言論人として、これまでは眉をひそめて放ち置く存在であった。しかし著者の実証と推論を重ねて、手の内を見せながらその存在を確定していく方法に従えば、そこにアナザーヒストリーを発見できる。確かにトンデモない議論の持ち主だが、だからといって全否定すべきものではない。

<書評>『近代日本メディア議員列伝6 池崎忠孝の明暗 教養主義者の大衆政治』佐藤卓己 著 (msn.com)