大学院入試(専門職系)

 専門職大学院には、法科大学院ロースクール)、公共政策大学院、MBA、MOT、会計学、知的財産、ビジネス、コンテンツ、公共衛生、助産師、臨床心理学、教育学、原子力などの分野があります。そうした分野において貢献する実務家の養成を行うのが専門職大学院です。
学部でやることは「勉強」です。これは知らないことを知ることです。その一方、大学院でやることは「研究」です。大学院修士課程では、学びたい学問の勉強をしておき、やりたいテーマに関する先行研究を調べて、今まで解明されていないことを見つけて、そのテーマを研究してその成果を修士論文にまとめます。

 その一方で、専門職大学院では、研究よりもしっかり大学院で実践的な勉強をして、立派な職業人になることが目的です。修士論文ではなく、リサーチペーパーというものを書いて修了します。

 修士課程は、学問的意義がある研究をし、専門職大学院では、社会をよくする研究、人生の育成を行います。もっともこれは建前で、修士課程には、学問の発展と社会貢献の両方を行う大学院も多くあります。当該学問によって、研究成果を社会に還元しようと思わない分野、研究成果を社会に還元しようとする分野があります。
 そもそも、社会をよりよくするために研究しようと思っていらっしゃる教授と、全くそうは思っていない教授がいらっしゃいます。社会をよくしたい!と言い出す人に、誰にとっていい社会?いい社会って立場によって違うでしょ?と思っている教授は少なくありません。
 例えば、ある人が、東大教授に会いに行き、「地域の文化を用いて、過疎地域を活性化する研究をしたいです」と言いに行ったところ、ケチョンケチョンに言われたケースがあります。言われたのは、「観光客を増やすために地域の文化を捻じ曲げて金儲けに使う権利ってあるの?」「観光客が増えたら、地元の人の生活への迷惑になるよ」「君が勝手に地域を変える権利あるの?」「文化を使って経済活性化みたいに、何にでも資本主義の原理を広めるのは良くない」などと言われました。
 修士課程においても、こうした教授いらっしゃいますが、専門職大学院にはこうした教授はなかなかいません。

 例えば、美学・美術史の分野では、アートでお金儲けをうまくする研究をすることはまずありませんが、文化政策学、アートマネジメント、公共政策学、経営学、MBAといった分野であれば、美術館のお客さんを増やして黒字にある美術館のマネジメントを考えたいと言い出すのは何の問題もありません。
 また、日本近代文学の研究をしている、文学作品の中身や作家について研究している大学院の教授に、文学散歩をする人を増やしたり、文学館のお客さんを増やす研究をしたい!と言いに行くと、教授の空いた口はふさがらなくなってしまいます。しかし、実務的な研究をする大学院でならば、ライトノベル聖地巡礼を広めて地域経済を活性化する研究、アニメのコスプレカフェビジネスなどの研究もやりやすくなります。
専門職大学院修士課程においては、お金儲けなどにつながる実践的な研究をしていいところと、その反対の大学院があります。学問のための学問のような学びは好まない人には、専門職大学院修士課程の中の実践的な学風の大学院が合っているでしょう。

 専門職大学院では、受験までの読書量など今までの勉強、知識量はそこまで問われず、基礎学力、潜在能力、やる気、キャリアプランなどが重視される傾向がありますので、受験準備期間が短い人、準備に労力をそこまで注げない人なども受験しやすくなっています。
 また、東京大学大学院工学系研究科原子力専門職という大学院がありますが、福島第一原発の事故以来の社会状況、茨城県東海村で全寮制で学ばないといけないといったことなどから東大なのに希望者が多く集まらないという穴場もあります。

 また、法科大学院の制度ができましたが、希望者が安定的に集まらず、立教、青山学院なども含めてつぶれてしまったところが少なくありません。また、会計大学院もあまり人気がでないために、受験生を多く求めているために入りたい人には大きなチャンスがあります。

 何はともあれ、1991年以来の大学院改革で、日本の大学院は大きく変わっています。専門職大学院を含め、多様な大学院があります。大学院受験は複雑ですし、情報があまり出回っていませんので、池袋の大学院受験塾の究進塾にお気軽にご相談ください。いろいろと大学院情報をお伝えしますし、受験希望者の皆さんのニーズに合ったご提案をさせていただきます。

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